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最高裁判所第三小法廷 昭和28年(オ)290号 判決

主文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理由

上告代理人森永竜雄の上告理由について。

利息制限法所定の利率を超過した約定利息は、裁判上無効であるから、債権者が訴訟においてこれが支払を請求することのできないことは言うまでもないが、債務者が異議なくすでにその支払を了した分については、これが返還を請求したり、その弁済の充当を不当であると主張したりすることはできない。この理は、弁済期後の遅延損害金についても同様である。本件において上告人のすでに支払つた金員は、(イ)その全部が約定利息として支払われたものか、(ロ)又はその一部が弁済期後の遅延損害金として支払われたものか、原判文上その趣旨は必ずしも明白とは言われないが、いずれにしても、上告人の主張を排斥した原審の判断は結局正当であるから、所論は採用することができない(原判文の所論前段は、すでに支払われた遅延損害金の利率は約定利率によるべきことを判示したものであり、所論後段は、すでに双方異議なく授受を了したものは上告人においてその返還を請求することができない旨判示したのであつて、所論のような不備はない)。

よつて、民訴四〇一条、九五条、八九条に従い、裁判官全員の一致で、主文のとおり判決する。

(裁判長裁判官 井上登 裁判官 島 保 裁判官 河村又介 裁判官 小林俊三 裁判官 本村善太郎)

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